本研究はPROBE方式による本邦における初めての大規模介入試験である。その目的は、日本人の脳心血管罹病、死亡、高血圧性臓器障害に対し、降圧薬療法がいかに有効であるかを検証することにある。これまで、本邦における降圧薬療法の根拠は、欧米における大規模介入試験の成績であった。しかしながら、人種的、社会環境的差により欧米と本邦では疾病構造、病態は大きく異なり、欧米の成績を本邦に直接あてはめることには大きな危険を伴う。
本研究は日本人の高血圧治療において最も広く用いられているCa-拮抗薬あるいはACE-阻害薬あるいはアンジオテンシンU拮抗薬をランダムに三群の本態性高血圧患者に投与し、日本人の脳心血管疾患罹病並びに死亡、及び高血圧性臓器障害進展の予防にいずれの降圧薬がより有効であるかを検討しようとするものである。また、本研究は家庭血圧計による高血圧診療が服薬コンプライアンス、受診コンプライアンスをいかに向上させるかの検討を一つの目的としている。更に家庭血圧による降圧目標レベルを設定し、家庭血圧による至適降圧レベルを決定することも目的としている。
以上の検討により、日本人における最適な降圧薬の選択、降圧レベルの設定を行う。本研究の成果は、日本人の脳心血管疾患の一次予防に連なり、また本研究成績を基礎に高血圧の一次予防を計る。これらは本邦の医療経済への負担を軽減させるものと考えられる。