説明文
1.本研究は電子式自動血圧計を用いた家庭自己測定血圧による高血圧の治療に関する自主的な臨床研究です。
2.使用される降圧薬は、日本や世界で最も広く使用されている市販の薬です。
3.通常日本では高血圧の治療のために受診した人の大多数はカルシウム拮抗薬あるいはアンジオテンシンI 変換酵素阻害薬あるいはアンジオテンシンU受容体拮抗薬という薬で治療が開始されます。何故なら、これらの薬は投与された人の70%以上に有効で、安全性が保障されているからです。
4.あなたにはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシンI
変換酵素阻害薬、あるいはアンジオテンシンU受容体拮抗薬のいずれがより有効なのかは使用してみなければわかりません。
5.そこで、あなたを東北大学の臨床薬学教室にあるコンピューターに登録し、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬あるいはアンジオテンシンU受容体拮抗薬のいずれを使うか、また低下させる目標の血圧レベル(家庭血圧で135mmHg未満〜125mmHg且つ/あるいは85mmHg未満〜80mmHg、125mmHg未満且つ/あるいは80 mmHg未満のいずれか)をコンピューターに決めさせ、そのどちらかによる治療を開始します。
6.この125/80 mmHg未満という数字は大変低いと感じられるかもしれませんが、この値は家庭血圧によるもので、通常外来で医師が計るものとは意味が異なります。一般的に家庭血圧は医師の計る血圧より低いのです。またこの125/80 mmHgは、東北大学医学部の疫学研究において住民の脳卒中、心臓病による死亡が最も少なくなる値としてWHOなどで正常と決められている値ですので、決して低すぎることはありません。またコンピューターは、家庭血圧の平均が110/65 mmHg以下になると下がり過ぎという警告を発し、薬の種類や量を減らすこと、あるいは投薬を中止することを指示しますので、通常の診療より安全に降圧療法が行われることになります。
7.あなたが毎日測定する家庭での血圧データが、コンピューターに自動的に読みとられ判断されます。家庭用の血圧計(オムロンHEM747 IC-N)は1人1台貸し出しますので、毎日、朝、夜に1度づつ計って下さい。血圧測定の実際は別紙を参照して下さい(別添家庭血圧の測り方参照)。
8.2週から4週の治療で、もし効果がない場合、あるいは弱い場合、薬の量を増加させます。
9.増量後2週から4週の治療で、カルシウム拮抗薬あるいはアンジオテンシンI 変換酵素阻害薬あるいはアンジオテンシンU受容体拮抗薬の効果がない場合、利尿降圧薬という広く一般に使われている降圧薬を加えます。
10.利尿薬を加えて2週から4週後になお降圧効果がない、あるいは弱い場合は、これも日本で広く一般に用いられているβ-遮断薬あるいはα-遮断薬を追加します。
11.β-遮断薬あるいはα-遮断薬を2週ないし4週用いてもなお降圧効果のない場合、あるいは弱い場合は、カルシウム拮抗薬を最初に投与された方では、変換酵素阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬を含む他の降圧薬を追加します。変換酵素阻害薬、アンジオテンシンU受容体拮抗薬を最初に投与された方では、カルシウム拮抗薬を含む他の降圧薬を追加します。
12.なお、変換酵素阻害薬では10〜30%の人にのどのイライラ感や空咳の出る人がいます。もしもこうした副作用が耐えられないような人の場合は、変換酵素阻害薬から咳の副作用のないアンギオテンシンII受容体拮抗薬に切り替えます。
13.このようなシステムで血圧をコントロールしていきますが、これは日常行われている高血圧診療と全く変わりありません。ただ、薬の増加、追加の判断をコンピューターが行います。この判断は通常医師がやっていることと全く同じ手順です。またもし不都合が生じた時には主治医はいつでもコンピューターの指示を変更して、自分の判断で診療を続けます。従って試験は日常診療と同様な安全性を有し、特に危険を伴うことはありません。
14.これは臨床試験の一種なのですが、この試験に参加するか否かは全くあなたの自由意思によります。もし参加して下さるなら、別紙“同意書”に署名をお願い致します。なお本試験は東北大学医学部の倫理委員会で審査を受け、倫理的な問題のないことが承認されております。
15.もしこの試験に参加しなくとも、代わりの高血圧治療はたくさんありますし、また参加しなくとも何等あなたが不利益を被ることはありません。同意を頂いた場合、同意はいつでも撤回出来ますので申し出て下さい。
16.何等かの都合で、受診を無断で中断された場合、もちろん主治医の先生にその旨をお伝え下されば最もよいのですが、それが出来ない場合、主治医の先生から、その後どうなったかの問い合わせが行きますので、状況をお知らせ下さい。17.
コンピューターには、あなたの名前は登録されません。識別番号のみ連絡されますので、あなたのプライバシーが侵されることはありません。また結果の公表に個人の名前が出るようなことはありません。
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